10月9日(木)に行われた、TGSフォーラム2008「キャラクターセッション」のレポートをお届けする。セッションのテーマは「コンシューマとのコミュニケーションで切り開く 新しいゲームワールドの可能性と将来像」。株式会社ビサイドの南治一徳氏、株式会社ドワンゴの伴龍一郎氏、クリプトン・フューチャー・メディア株式会社の佐々木渉氏の3氏が、キャラクターを使ったSNS/CGMのビジネスについて語った。

プレイステーション3をもっと楽しんでもらうために - ビサイド/南治氏
1999年のプレイステーション『どこでもいっしょ』を皮切りに、プレイステーション3オンライン配信専用タイトル『まいにちいっしょ』、プレイステーション・ポータブル『どこでもいっしょ』などを企画・制作してきたのが、株式会社ビサイドだ。
開発の発端には3つの目的があったという。
- PS3に毎日触ってもらいたい
- PS3をネットワークに繋げて欲しい
- PS3で広がる新しい世界を体験して欲しい
制作ポリシーについては、
- 毎日サービスを提供する
- 「トロ・ステーション」では、ハッピーなニュースだけを扱う
- 常にPSの新機能にチャレンジし、進化し続ける
ということだそうで、つまり『まいにちいっしょ』は、当初からPS3という新プラットフォームの魅力や楽しさを伝えるために考えられたものだったということだ。

『まいにちいっしょ』の大きな特徴は、ユーザーとの対話を非常に重視した開発を行っていること。例えば、トロ・ステーション内のアンケート、お部屋コンテスト、庭カードコンテスト、非公式掲示板の設置などによって、常にユーザーの意見を反映させることに力を入れているのだという。ちなみにアンケートの回答率は、なんと100%だとか。
プレイステーションユーザーのオンラインコミュニティ「PlayStation Home」のアカウント数が現在130万であるのに対し、『まいにちいっしょ』のダウンロード数は35万(※2008年10月現在)ということで、プレイステーション・ユーザーの約30%がダウンロードしたことになる。南治氏は、今後はPlayStation Homeとの連携を深め、より多くのユーザーに楽しんでもらえるようにしたいと語っていた。
マッシュアップに欠かせない仕組みづくりを導入 - ドワンゴ/伴氏
ドワンゴといえば携帯電話のサービスを提供している会社というイメージが強いが、実はあのニコニコ動画を運営している会社でもある。ニコニコ動画といえば、動画の画面上にコメントを付けたり、音楽や動画のremix/マッシュアップが次々に生まれるなど、ユーザーの創作意欲を盛り上げる仕組みがふんだんに盛り込まれている。
検索エンジン対策やブログパーツはもちろん、タグ検索やオススメ動画の表示、様々な単語や動画について記事を編集したり、掲示板にコメントできるニコニコ大百科など、ユーザーが見たいと思うコンテンツへの導線を多数確保しているのも大きな特徴だろう。
一方、remixやマッシュアップをするにあたって障壁となるのが著作権の問題だが、ニコニコ動画ではこの問題に対して「ニコニ・コモンズ」という仕組みをつくって、二次制作をしたいと考える作者の便宜を図っている。二次創作の親子関係を目に見えるようにすることで、その作品が誰が誰の作品に影響を受けて創られたのかが分かるようになったのだ。

ニコニ・コモンズの活用例としては、エイベックスの新人アーティスト「GIRL NEXT DOOR」のプロモーションが紹介されていた。デビュー曲「偶然の確立」のPV素材をニコニ・コモンズに提供し、ミュージックビデオコンテストを開催することで、優秀者には1stアルバムのブックレットに名前が載るという仕掛けだそうで、今後こうしたプロモーションの方法はかなり広まっていくのではないかと思わせる内容だった。
その他、「萌え」×「仮想空間」をテーマにしたWindows専用オンラインコミュニティ『ai sp@ce(アイスペース)』(10月15日より正式サービスイン)についての紹介も。美少女コンテンツのファンコミュニティとしてニコニコ動画とも連携しながら、ユーザー発信によるコンテンツをどんどん広げていきたいと伴氏は語っていた。
初音ミクを通じて、ユーザーが主役になるキャラクターづくりを - クリプトン・フューチャー・メディア/佐々木氏

昨年から今年にかけてネット上で大きな話題を読んだ、「初音ミク」というキーワード。ヤマハが開発した音声合成エンジン「VOCALOID 2」を使った音楽制作ソフト(キャラクター・ボーカル・シリーズ)である初音ミクは、DTM(デスクトップミュージック)ユーザーでない一般の人たちにも話題を呼んだ。DTMの国内市場は約50万人、DTMソフトの売上本数は通常千本と言われる中、2008年の頭までに3万本を越えるヒットとなった。
ヒットの理由は、ニコニコ動画などでの盛り上がりによって、そのブームが音楽制作をしないキャラクターファンにも波及したこと。それによって、初音ミクというキャラクターはどんどん一人歩きを始め、ユーザーそれぞれが「自分のイメージする初音ミク」を創り出すようになっていったのだ。
クリプトン・フューチャー・メディアは2007年12月、CGM型コンテンツ投稿サイト『ピアプロ』をスタートさせ、ブームは更に加速。漫画、フィギュア、ゲームなどとメディアミックスも積極的に行い、2009年にはプレイステーション・ポータブル専用ソフト「初音ミク - Project DIVA-」も発売予定だという。
佐々木氏曰く、将来的にはユーザーのアイデアと企業の考えをうまく結びつけられるような仕掛けとして、初音ミクのようなキャラクターを使っていければ、とのこと。
3社が今後取り組んでいきたいこととは?
セッションの最後に行われたディスカッションでは、「これからユーザーとのコミュニケーションでやっていきたいことは?」という質問が三氏に投げかけられた。

左から南治一徳氏、伴龍一郎氏、佐々木渉氏
セッションが終わって感じたことは、今後のキャラクターゲームには「ユーザーとどうコミュニケーションし、楽しませるか」「ユーザーの期待にどう応えるか」がより一層求められるだろうということだ。また、初音ミクのように、ゲームではない商品からヒットが生まれることもある。キャラクターをうまく使うことによって、ニッチな商品でも大きなブームを巻き起こせることが証明された今、どんな業界のメーカーも今起きているキャラクタービジネスの動きについて、関心を持つべきだろう。
関連リンク
東京ゲームショウレポート
株式会社ビサイド
株式会社ドワンゴ
クリプトン・フューチャー・メディア株式会社
まいにちいっしょ
PlayStation Home
ニコニコ動画
ニコニコ大百科
GIRL NEXT DOOR
ai sp@ce(アイスペース)
初音ミク(Wikipedia)
ピアプロ
初音ミク - Project DIVA-
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