2006.09.20

ビジネス展開と映像制作 ♯9

イメージ:ビジネス展開と映像制作 ♯9

HD撮影は身近になったか
デジタル放送への対応
千田斎(EYERise)

バックナンバー

今から約5年後の2011年7月24日より、日本は国の政策により現在の地上アナログテレビジョン放送は廃止され、地上デジタル放送へと移行します。より高精彩な画質の提供が可能になるわけですが、つくり手側の制作現場には様々な影響が予想されますね。Wikipediaでは、以下のようなコメントが見られました。

日本で最もHDTVへの対応が進んでいる番組はスタジオ収録の番組やスポーツ中継である(特に生放送で行われるもの)。最も進んでいないのはアニメ番組やCMで、これらはほとんどが制作プロダクションの制作によるものであって、HD制作機材の設備投資が進んでいないことが理由と考えられる。(高精細度テレビジョン放送 - Wikipedia)

なお、以降の文章にも登場するHD、HDTVなどフォーマットについては、こちらのサイトに詳しく解説されています。

先日、私はとあるファッションメーカさん主催のイベントのお手伝いを行ったのですが、この時のカメラマンさんとのやりとりから、今回のコラムを始めてみましょう。

撮影現場でのカメラの考え方

【私】 HD(高精細度テレビジョン放送)を意識してお仕事されていますか?

【カメラマンさん】 うーん、そうだね。正直撮影するケースによるかな? CMとか予算がある場合には、もちろん使う。でも、予算があってもHDでは重過ぎる(重量がある)ケースがあるからね。そのときはHDVで撮るとかにしてしまう。

【私】 キヤノンさんから出ているXL H1はHD-SDIの出力もあって取り回しが楽みたいですよ。私の知人も個人で買った人がいます。

【カメラマンさん】 カメラって大きく2つの使い方があると思うんですよ。大型のカメラは大げさに言うと、マニュアル操作を駆使してとことん絵作りを極めていく。…となるとカメラアシスタントも必要。

小型のハンディカメラは機動性重視。紀行物なんか1人で現地のインタビューを含めまるまる撮ってきちゃう。XL H1は絵作りもできるし、ハンディ的な要素もある(ちょっと重いけど)から、中間に位置しているタイプだね。どちらでも使えて便利だから、1台買っちゃうという気持ちもわかるな。

HDなりHDVで撮影しても、最終納品形態がDVDであればSDでもかまわない(実際このイベントの納品はDVDであったがHDVで撮影をしていた)。しかし多くの制作会社はHDを意識しています。電波に乗らなくても、次世代DVDだとHDもしくはHDVで撮影し編集することになり、ノウハウや実績を積んでおくことが今後の仕事にプラスになるからです。

キヤノンから機動性と拡張性をもったカメラが登場

キヤノン株式会社(以下、キヤノン)はXL H1で大型とハンディ(ENGカメラ)の中間というポジションを狙いました。それは外れではなかったと思いますが、ハンディとして使うにはちょっと重いかな という面もあります。

こんなお話をしていたなー、と思っていたら2006年8月26日に行われたキヤノンマーケティングジャパン株式会社(以下、 キヤノンMJ)主催のHD FILMMAKING ワークショップで、HDによるハンディタイプのカメラ「XH G1とXH A1」が紹介されました(7月26日発表)。

Canon XH G1 Canon XH A1
左:Canon XH G1、右:Canon XH A1

機動性重視のハンディカメラ市場にHDを持ち込んだ製品がこの商品。XL H1との違いはレンズ交換式ではないこと(広角撮影用のワイドコンバータが発売予定)、HDでのエンベデットオーディオに対応という点があげられます。その他詳しい情報はキヤノンの業務用デジタルビデオカメラのサイトで確認してみてください。

56601.jpg
発表されたXH A1を構える
キヤノンMJ デジタルビデオカメラ商品企画部 絵本直樹氏

HDは意識するべき

HDVのカメラは一般消費者向けを含め、数多く発売されています。でも、HDVとHDではフォーマットが違います。HDではDVテープに収録ができないため、ハンディタイプのカメラは難しいと考えられていました。

キヤノンはこの問題をHD-SDI出力をつけることで解決しています。

  • HDデータをダイレクトにPCに取り込め、キャプチャの手間がかからない
  • フルHDの画質
  • その場で合成などのアタリを取れる点

などの特徴はデスクトップビデオ編集として大きな利点があります。今まではどちらかというとカメラにノンリニア編集システムを近づけるという考え方でしたが、キヤノンのカメラの登場により、カメラとノンリニアがイコールになってきました。

次なる進化の希望としては、安いHDDでも搭載できるカメラですね。HDD(やその他メモリカードタイプ)を使うタイプはいくつか製品化されていますが、重量や価格面でいまひとつブレイクしていない印象です。

HDDは軽量化され価格も下がってきています。さらなるPCとの連携を求めた、新コンセプトのドッカブルカメラがまた登場するのでは?と、今年のInterBEEでもそぞろ歩きをしてしまうことになるでしょう。それではまた。

(EYERise 千田斎)

関連リンク

バックナンバー
高精細度テレビジョン放送(Wikipedia)
ハイビジョンとデジタルHD/HDV規格(フォアサイトTV)
キヤノン(株)
Canon XL H1
Canon XH G1、XH A1
Canon XH G1(Amazon)
B000HA7IZ8
Canon XH A1(Amazon)
B000H5UN0U
キヤノン:業務用デジタルビデオカメラ
InterBEE 2006

千田斎さんプロフィール

映像市場とは、3DCGの営業から映像関連のマーケティングまで、かれこれ15年近くのお付き合い。毎年変わる映像への反応を楽しみつつ苦悩の日々を送っている。EYERise代表取締役。

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