2008.09.01

ドボク・サミットレポート

イメージ:ドボク・サミットレポート

今回は、最近注目の「ドボク」のスペシャリストが集結した「ドボク・サミット」の様子をレポートします!

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「ドボク・サミット」?

「ドボク・サミット」とは、最近目にすることが多くなった、工場やダム、団地、ジャンクション、水門といった土木構造物や建築物をクローズアップしている人たちが集まり、プレゼンテーション、ディスカッションを行うイベント。(2008年6月15日、武蔵野美術大学にて)

ドボク・サミット

プレゼンテーターは、『工場萌え』『ジャンクション』『団地の見究』著者の大山顕さん、『工場萌え』著者の石井哲さん、『ダム』『ダム2(ダムダム)』著者の萩原雅紀さん、『東京鉄塔』著者の長谷川秀記(サルマルヒデキ)さん、そして進行役として、武蔵野美術大学デザイン情報学科教授、『恋する水門』著者の佐藤淳一さん。その筋ではとてつもなく有名で豪華なメンバーで行われました。

サミット直前の様子。佐藤淳一さん、石井哲さん、大山顕さん、長谷川秀記さん、萩原雅紀さん。いよいよスタートです!
サミット直前の様子。左から、佐藤淳一さん、石井哲さん、大山顕さん
長谷川秀記さん、萩原雅紀さん。いよいよスタートです!

ちなみに、このイベントの発端は、5月29日、6月5日、12日の3夜に渡り、NHK BS2の『熱中夜話』にて放映された「巨大建造物鑑賞ナイト」。上記のメンバーが収録で一堂に会した際に、「それぞれの分野にまたがる、『ドボク』をテーマにイベントを開いてみてはどうだろうか?」ということになり、サミットの開催が決定。「巨大建造物鑑賞ナイト」の公式ページには詳細なレポートも掲載されているので、こちらも要チェックです。

各ジャンルのスペシャリストが揃う貴重な機会

まずは、それぞれの分野ではどういったものを見ているのかというテーマでプレゼンテーションを行いました。

  • 【ダム】萩原雅紀さん
「ダムのデザインを観てまわる」というテーマのもと、構造や景観、ダムの意匠といったいくつかの着眼点から様々なダムを紹介。

ダム1 ダム2
  • 【ジャンクション】大山顕さん
「ジャンクションは下から見る」をテーマに、各地の見応えあるジャンクションを紹介。展望台に対する意見やドボク鑑賞者向けのコメントなどでは、観客の笑いを誘いました。

ジャンクション2 ジャンクション1
  • 【工場】石井哲さん
京浜工業地帯にある工場の夜景や人とのスケール感の対比、機能優先のデザインの魅力などを紹介。また海外の、世界遺産登録されている産業遺産の公園やドイツのエムシャーパークなど、国外の工場景観についても解説。

工場1 工場2
  • 【団地】再び、大山顕さん
「団地鑑賞法入門」というテーマで、各地の団地を紹介。団地撮影のポイントは、
・正面から撮る
・薄曇りの日に撮る
・なるべく通路側を撮る
こととしながらも、「しかし、何の特徴もないいかにも団地らしい団地を楽しめてこそ、団地マニアと名乗れます」と締めくくり、団地鑑賞の神髄を語りました。

団地1 団地2

withD読者に教えます「団地的写真の撮り方」

とても大きな構造物である団地。紹介されている写真はどれもしっかりフレームに収まり、レンズの歪み無くきれいに撮影されています。上記の3つのポイントに加えて、実際どのように写真を撮っているのかを大山さんに聞いてみたところ、「シノゴ(4×5判)」のカメラを使い、アングルはあおり気味とのこと。興味がある方はぜひ一度チャレンジを!

  • 【鉄塔】長谷川秀記さん
「鉄塔をいろいろな形に見立てる」をテーマに、形の面白さや美しさを紹介。実は大正時代に建てられた鉄塔は美しい形をしているものが多い、などの意外なエピソードも。

鉄塔1 鉄塔2
  • 【水門】佐藤淳一さん
水門の「塗装」をテーマに定点観測した写真を紹介し、「なぜ、さわやか系へ向かうのか」という疑問を提示。昔は赤が多かった水門が、今は水色などのさわやか系の色になってきているという事実を挙げ、こういう視点で見続けなければ発見できない事象を紹介しました。

水門1 水門2

どれもとても興味深いプレゼンテーションで、前半だけで予定終了時刻をオーバーしてしまう程の盛り上がりを見せました。

リサーチ・エンタテイメントの魅力、ドボク鑑賞とは?

すべてのプレゼンが終了すると、今回の「ドボク・サミット」のメインでもある、ディスカッションへ。その中で話し合われた3つのトピックスを紹介しておきます。

  • ドボクとは?
今回のイベントタイトルにもある「ドボク」は、なぜ漢字表記の「土木」ではないのか? ドボクは、土木構造物のみならず、機能性重視の性格を持つ建築物も含んだ領域と定義しているため、カタカナで表記することに。
  • リサーチ・エンタテイメント
「ドボク」のように、既に作られたものに興味を持ち、愛でていくことを、「リサーチ・エンタテイメント」とし、学術的、産業的な目的を持たずに行われる自発的な研究がエンタテイメントとして表現される行為と定義。
  • ドボク鑑賞者の果たす役割とは?
ダムの荻原さんの体験談から、これまでは施設の都合でしかやらなかった水の放流が、最近は休日に告知をして行われるようになったなど、徐々にいろいろな人を巻き込む存在になってきている。近くに住む人や運営に携わる人にとっては普通の存在でしかなかったものが、「ドボク」の力で地域のコミュニケーションやあらためてその存在を考えるきっかけとなるのが望ましいのではないか。

「ドボク」の方向性を見据えて、活発なディスカッションが行われました。中でも印象的だったのは、出演者の表情が笑顔だったこと。ここに、リサーチ・エンタテイメントの基にある、“自発的な”姿勢を見ることができ、そしてこれからも情報発信がどんどん行われていくであろう予感を確信しました。今後の「ドボク」のさらなる発展に期待大です!

ディスカッションの様子

個人が情報発信が出来る時代ならではの活動

今回は、「ドボク」という視点で情報発信している活動を垣間みることができましたが、今では、インターネットを通じて、多くの人が気軽に情報を発信できるようになっています。みなさんも、ドボクに限らず、個人的に楽しんでいるもの・ことについて情報発信をしてみると、意外な広がりが生まれるかもしれませんよ。

(withD特派員 いむら)

関連リンク

『工場萌え』(東京書籍)
『ジャンクション』(メディアファクトリー)
『団地の見究』(東京書籍)
大山顕(「住宅都市整理公団」)
石井哲(「工場萌えな日々」)
『ダム』(メディアファクトリー)
『ダム2(ダムダム)』(メディアファクトリー)
萩原雅紀(「ダムサイト」)
『東京鉄塔』(自由国民社)
長谷川秀記(サルマルヒデキ)(「毎日送電線」)
『恋する水門』(ビー・エヌ・エヌ新社)
佐藤淳一(「Floodgates」)
NHK BS2「熱中夜話」
巨大建造物鑑賞ナイト(「熱中夜話」サイト内)

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