今月のQ&A
【Q】タイポグラフィ作品の知的財産はどのように保護されるのでしょうか?
【A】作品のカテゴリーや内容によって保護される法律が違ってきます。
今月の解説
雑誌や書籍での文字組み、商品開発や広告宣伝に伴うロゴタイプやマーク、シンボルデザイン、ポスターやカタログ制作など、グラフィックデザインやDTPにおいて、タイポグラフィは欠かせない要素です。しかし、その使用に関しては予期せぬトラブルも多く、しっかりとした認識をもって対応することが必要です。今回からタイポグラフィ作品の知的財産権について学んでいきましょう。
さて、タイポグラフィ作品の知的財産を守る法律は、これまで紹介されていた著作権法のほか、意匠法や特許法、実用新案法、商標法や不正競争防止法があります。しかし、タイポグラフィ作品の法律による保護は、作品のカテゴリーや内容によって異なるため、複雑な印象をもたれる方も多いことでしょう。第一回となる今号は、その概要を取り上げて解説していきます。

まず、デザイナーの多くは「自分の創作物には著作権がある」と思いがちですが、著作権法で創作物の知的財産が法的に保護されるためには、著作権法で定める「著作物の要件」に合致していなければなりません。
すでに説明されているので詳述はしませんが(小誌2007年10月号参照)、たとえば“だれもが思いつくような”マークやシンボル、ロゴタイプは「著作物の要件」に該当しません。しかし、これらも商標登録申請をして認められれば、「登録商標」として商標法で保護されます。
つぎに、文字組みに使用するタイプフェイスは、「ひと揃いの文字デザイン」であり知的財産です。これに関しても、これまでの係争では極めて厳しい判断がなされていますが、「要件」を満たせば著作物と認められます。
なお、タイプフェイスは無体物であることから、物品の形状や模様を保護対象とする意匠法では保護されませんが、書体データを含めたデジタルフォントのプログラムは、著作権法の保護対象です。
さらに、新たに開発した技術によるフォントフォーマットや組版プログラム、商品パッケージなどは、特許法や実用新案法でその創作が保護されます。ただ、いずれも申請と審査登録が必要です。そのほか「創作」を主張した作品であっても、すでに世の中に出回っていて、一般によく知られている商品や意匠に似ていると判断されると、誤認混同の恐れがあるとして不正競争防止法で差し止めなどの処分がされます。
このようにタイポグラフィ作品の知的財産権はそのカテゴリーと内容によって、法的保護のされ方が異なるのです。
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この連載はクリエイターに必須の知的財産権の知識をQ&A形式で紹介する連載です。講師は、印刷、グラフィック、タイポグラフィ、イラストなど各分野の法律の専門家。Web版ではアーカイブを順次、全文紹介しています。デザインやDTPなどの制作業務に、ぜひお役立てください。
最新の内容は、月刊DTPWORLD11月号(Vol.125・2008年10月11日発売)でご覧いただけます。
関連リンク
クリエイティブのための知的財産権講座 バックナンバー(♯1〜6公開終了)
DTPWORLD 2008年4月号 Vol.118(掲載号)
DTPWORLD 2008年11月号 No.125(最新号)
大町尚友さんプロフィール
おおまち・しょうゆう●タイプディレクター。日本タイポグラフィ協会・監事。1941年広島生まれ。ライブクリエイション主宰。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科講師。
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