わかってる、だからできてる?
大規模なセミナーイベントなど行うと、アンケート結果に「知ってる内容が多かった」「特に目新しい発見はなかった」といったコメントを見ることがあります。このような声から主催者側として反省させられることは多分にある一方、単純に「もったいないなぁ」とも思います。「知っている」というのはあくまで最初の一歩。せっかく足を運んだのに、「知っていれば、後は用なし」では非常にもったいない。
逆に「知らなかった」人にも落とし穴が。「知らなかったことを知る」というのはとてもダイナミックな出来事なので、その勢いにのまれて「知った」→「わかった」→「できる!」まで、その場で一気に妄想バージョンアップしてしまうことがあります(少なくとも私は…)。
「わかる」と「できる」は別物。これは最近よく聞く話で、それこそ「知ってる知ってる」という人も多いと思いますが、自分のこととなるとやっぱり無意識に「わかってる=できてる」と思い込んでいたりするもの。そこで今回は、何かを知った後「できる」ようになるまでのステップを整理してみたいと思います。
上には上がある、「できる」の5段階
『クリエイティブ・トレーニング・テクニック・ハンドブック』によると、人材開発の専門家として知られるロバート・パイク氏は、能力レベルを下の5段階に分けて解説(※)しています。

能力レベルの5段階
※注
ウィリアム・ハウエル氏が著書『Empathic Communications』で述べた能力レベル4までに「レベル5」を加えたもの。
- レベル1:まずは知らなきゃ始まらない
「知る」機会を得るには“日常の送り方”がものをいいます。歳をとればとるほど向こうからやってきてくれる気づきの機会も減ります。「先輩、目上の人に“ご苦労様”は失礼ですよ」なんて下からはなかなか言えません。後輩や部下の声に耳を傾ける、また一方で自分より視座の高い人のセミナーを聴きに行く、本を読む、上司や取引先と飲みに行くといった “気づき”の機会を自ら日常に埋め込んでおくことが大切です。
- レベル2:知っているけどできてない
またこの段階は「できていない自覚はあるけど、スキル不足で」ということもあります。この場合、まずはやってみる、できるまで練習して習得すること。ワークショップやハンズオントレーニングのように受講者参加型の講座を利用するのも有効です。逆にどれだけ講演会に足を運んでも、話を聴いているだけでは習得に至りません。とりあえず「自分が動く」ことが必須となります。
- レベル3~4:それをしないと気持ち悪い
習得したいテーマによっては、日々のワークフローに組み込んでしまうことで習慣化するのも有効ですね。その後持続させるには、時々意識的にチェックすることも大切でしょう。
- レベル5:価値や手法を言葉にできる
ちなみに、「わかった」「できた」時点でレベル5もできるようになったと錯覚しやすいものですが、これもまた別物。人から聴いた話を「わかった!」と思ってクライアントにぶつけてみたものの玉砕…。なんて場合はクライアントの理解度に原因を押しつけてしまわないこと。まずは自分に向けて「レベル2~4をすっ飛ばしていなかったか」問いかけてみましょう。
「知る」は、「できる」のレベル2
冒頭で話したように「だいたい知ってるなー」というセミナーに参加したときも、「で、実際自分はできてるの?」「講演者と自分のやり方、成果の違いは?」「人に伝えるときはどう筋道を立てて話せば分かりやすい?」など、自ら問いを立てて話を聴くようにすると新しい学びの機会が生まれます。
そこで「気づいた」「知った」「わかった」ことがあったら、ぜひ「できる」のフィールドに移動してください。そして「できる」レベル2から一段ずつレベルアップ。レベル5に達したときには、また新しいテーマで「できる」レベル2に立っている自分に気づくと思いますよ。
関連リンク
キャリアデザインのススメ バックナンバー
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