2006.02.16

鎌田貴史さんインタビュー

イメージ:鎌田貴史さんインタビュー

『INTERACTIVE INTERIOR』展
CHRONORYTHMの制作者

2月11日に華々しく姿を見せた表参道ヒルズ。その地下3階にオンラインセレクトショップ「BEYES」がリアルショップをオープンしました。BEYESといえば、artlessRAKU-GAKI+39などなど豪華な面々を起用したスペシャルコンテンツが話題。リアルショップでも、中央にEDITWALLと名づけられた2m×1.5mのスクリーンとカメラを設置し、実空間と仮想空間を融合させた新しい店舗空間づくりが大きな話題となっています。

SEMITRANSPARENT DESIGNがシステムディレクションをしたこの空間に日ごとに映し出される3ヶ国5組のクリエイター。その中の一人である.SPFDESIGNの鎌田貴史さんにお話を聞きました。

最初は商品画像を使おうと考えた

インタラクティブインテリアとして、プロデューサーの田中さん(projector)から出たお題は4つ。

  • インタラクティブ性があり
  • インターネットを使っていて
  • インテリアになる
  • 時計

というものでした。他の参加クリエイターに対してはどういうお題が出たのかはわからないんですが、何らかのお題はあったようですね。

お題を受けて最初に作ったヴァージョンは、BEYESのECサイトに登録されている商品画像を使ってマンセルカラーシステムと関連づけたものでした。週末にオリエンを受けたイメージでガーッと作って、お題の提示からイメージできたことをいろいろと盛り込んでみたんです。

マンセルカラーシステムとは?

色彩を色相、明度、彩度の3属性に基づき表現する体系(表色系)の一種。3つの属性を3次元空間で図示したものをマンセルの色立体(カラーシステム)という。
参考:色を表す3つの属性

そのヴァージョンのチェックで修正が入ったのは、「インテリアとして空間にもっとなじむものを」というものでした。表現の中に商品が入るとどうしても“店”としてストレートなイメージすぎるため、商品画像を見せる表現はやめたんです。商品画像はECサイトと関連づける予定でしたので、インターネットを使うプランは見送りに。そこで最初のヴァージョンから色相の変化を60分割した二次元のリングのみを取り出し、中央にはより時計らしいモチーフとしてデジタル時計を置いてみました。これが形としてのベースになりました。

Flash8で精度が高まった動体検知

次は売り場フロアに向けて設置されたカメラを使ったインタラクションの表現です。ストレートにFlashの動体検知のActionScriptを作品に組み込もうと考えました。Flash8以前でもカメラ全体で動きを見るような動体検知の仕組みはありましたが、得られる情報に限界があったんですね。

それがFlash8になって、レイヤーオプションなど描画系機能が上がったことで、現フレームとその一つ前のフレームの差の絶対値を検出することができるようになったんです。動体の正確な座標が得られ、表現に使えるようになったんですね。この辺りは。バスキュールさんが研究用に公開されていたものを参考に実装しました。

最初に検知した動体をモノトーンのシルエットで表現してみました。インタラクションの明快さという観点で、シルエットを残しておくことを最後まで検討したんですが、あくまでインテリアとしての見た目のキレイさ、美しさを表現するためにシルエット案は中止しました。最終的に決まったインタラクションの仕組みは、カメラで検知した動体の座標に反応して、色相リングが回転する方向をコントロールするというもの。スクリーンセイバー版ではマウスカーソルの座標に反応するようにしてあります。体験してみてください。

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※画像をクリックしてみてください。

リアルな場所で展示できることがモチベーションに

そのような検討を踏まえた結果できあがったのは

  • 色相を60分割したドットのリング
  • 真中にデジタル時計を置き、ドットを秒針として回転
  • ドットの大きさは1秒を最小60秒を最大としてリングの太さが変化
  • カメラに映った動体の座標に合わせて回転が方向が変わる
  • 背景の色もドットの色に合わせてゆるやかに変化する

というもの。インテリアとしての気持ちよさとともに、刻々と表情を変える作品として仕上げました。

のべ制作期間は約2週間。お題の設定が明確だったので、アプローチしやすかったです。リアルな場所に設置される作品を作れる機会はそうないので、非常に集中して取り組め楽しい仕事でした。苦労したのは、負荷の最適化のための工夫ぐらいでしょうか。

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既存のコンテンツの新しい見せ方に興味がある

この仕事の前に取り組んでいたのが、HondaSweetMission。現在は、長期のプロジェクトに取り組んでいまして、3月のカットオーバーを目指して進めています。

画像→音声→映像と、WEBサイトで連携できるデータの種類が増えてきていますが、それらのコンテンツを安直な見せ方ではなく、一味違ったアプローチからの見せ方を考えるのが面白いですね。例えば、HondaSweetMissionでの音声へのチャレンジ。普通の音声の配信よりも、もっと面白く参加しやすい形を何なのかを考えました。その結果、音声のエントリーに対して、好きなタイミングでコメントやトラックバックが可能になり、それらは音声に変換されて表現される形に行き着いたわけです。

今回、リアルな場でこのような表現ができて非常にうれしかった訳ですが、今後もこういう機会があればぜひチャレンジしてみたいと思っています。例えば建築家とのコラボレーションで、インタラクティブ作品ありきのスペースを作り出すとか。考えるだけでもワクワクします。

INTERACTIVE INTERIOR EXHIBITION

表参道ヒルズ地下3階にオープンしたオンラインセレクトショップ「BEYES」に設けられたEDITWALLに、国内外の3ヶ国5組のクリエイターが作品を展示。2/11~18第1回の展示として、関連映像などを見ることができる。作品はその後1年間にわたって常設される予定。
参加クリエイター:Nanika(uk)、WOWLAB(jp)、WILDCARD(jp)、SEMITRANSPARENT DESIGN(jp)、MARCOS WESKAMP(ar)、TAKASHI KAMADA(jp)
http://www.beyes.jp/editwall/
http://www.beyes.jp/editwall/top.php

(デジタルスケープ 岡本淳)

関連リンク

BEYES
BEYES from 表参道
EDITWALL
INTERACTIVE INTERIOR EXHIBITION

鎌田貴史さんプロフィール

1979年神戸生まれ。2003年夏、「.SPFDESIGN」を屋号にフリーランス活動開始。低スペックマシンを無視しつつ、小気味いいFlashサイトつくりまくり。
.SPFDESIGN
HondaSweetMission
Fotologue.jp

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