2006.09.12

INSPIRATION SCENE Summer Jamレポート #2

イメージ:INSPIRATION SCENE Summer Jamレポート #2

東京・福岡・大阪・名古屋・沖縄と開催されてきた同イベント。最終回となった東京での、INSPIRATION SCENE参加クリエイター5名による講演の様子をレポート。

このイベント「INSPIRATION SCENE Summer Jam」は、アドビ システムズ株式会社によるCD-ROM「INSPIRATION SCENE」に参加している5人のトップクリエイターにフォーカスするもの。株式会社ロクナナの運営により行われた。

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左から西村真里子氏(アドビシステムズ)、佐野勝彦氏(博報堂アイ・スタジオ)、西田幸司氏、タロアウト氏、タナカミノル氏、高木久之氏、トザキケイイチ氏

このレポートでは最後のセッションでのクライアントワークの紹介を振り返る。登場したのはINSPIRATION SCENEの制作を担当した、西田幸司氏タナカミノル氏高木久之氏トザイキケイイチ氏タロアウト氏の5名。最後に佐野勝彦氏(博報堂アイ・スタジオ)も飛び入り参加し、発想やアイデアに満ちたクライアントワークの数々が披露された。

アルファチャンネルを使った巧みな演出 - トザキケイイチ氏

DoCoMo Web Exhibition(公開終了)は、Web上のパビリオンをコンパニオンが紹介するPIPコンテンツ。「行って戻る」の繰り返しになりがちなコンパニオンの動きを細かくシュミレーション。更に、登場/会話/退出と3種類の動きに分割して最適化し、サイズパターンや使い回しを駆使することで、軽量でありながら自然な動きを実現したという。CGのリアルな仕上がりも見事なコンテンツだ。

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左:DoCoMo Web Exhibition 右:[saiz]

IKEAのスペシャルサイト[saiz](公開終了)は3つのサイズを入力すると、データに応じた商品を見ることができる。「心の広さ」や「愛情温度」といった主観的なサイズもある。検索結果は商品ごとに持つ色情報の平均値で塗りつぶしてシルエット化、さらに検索結果の全商品の色情報の平均値で背景の色が決定されるのだとか。愛情温度が高いと、検索商品や背景色が赤くなる演出が楽しい。

入出力デバイスとしてのFlashの魅力 - 高木久之氏

オランダ積み木「KAPLA(カプラ)」を紹介するBEYESのスペシャルコンテンツは、10個の積み木を自由な位置と角度で積み、コメントを残す参加型コンテンツ。実際の商品の魅力をシンプルに表現している。「Flashはマウス、キーボード、Webカムの制御が楽で、入出力のアクションが作りやすい」と高木氏。その楽しさを反映してか、この日時点で14万個近い積み木が積み上げられていた。

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左:BEYES Kapla 右:Air Garden 空中庭園

以前、鎌田氏の作品を紹介したBEYES表参道ヒルズ店の設置型Flash作品「Air Garden 空中庭園」はWOWLABとの共作。CGでは細かいリアリティやトーン&マナーを、高木氏担当のFlashで季節の転換といった大きい動き、ランダムさやあいまいさを演出している。来店した人の動きを動体検知し、JavaServlet→XMLソケット→Flashに渡すことで、絵を変化させているのだとか。

全ては後付け(とは思えないアイデア) - タナカミノル氏

目に鮮やかな緑の芝生が印象的な「アイラブ夏ケイバ」は、JRAのスペシャルコンテンツ。相武紗季さんのビデオがサイトへの誘因となっているが、素材のVTRで気持ちよさそうに芝生に寝転ぶ様子を見て、競馬場に行きたいと思わせる象徴として芝生を採用したのだという。アクセントとして飛ばしている蝶々だが、「バタフライプロジェクト」として様々な案件の中で飛ばしているとのこと。

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左:アイラブ夏ケイバ 右:Driving Cube

バナー職人の意地でつくった、という「Driving Cube」は、Flashによるフローティング型ブログシール。細かい動きを絵コンテにしてクライアントに提案した結果は、戻しなしの一発OK。常々「おもしろい仕事をするにはデザイナー自ら提案を!」と語るタナカ氏。「全ての理屈は後付け」とのオチを額面どおりには受け取れないアイデアが満載だ。「バタフライプロジェクト」も本気なのでは?

オリジナルキャラクターが彩る世界観 - タロアウト氏

替え歌グランプリ(公開終了)は、TEPCOひかりのスペシャルコンテンツ。実質1週間(!)の納期でのオファーに対して、「全面的に自由にやれるなら」と制作したコンテンツは、オリジナルデザインのキャラクター「かえうた人」が多数登場するにぎやかなもの。キャラクターはアバターとして数万通りのパーツ組み合わせからオリジナルなものを作れるようになっていたという。

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左:替え歌グランプリ 右:NISSAN cube CUBOX

近日公開が予定されている「NISSAN cube CUBOX」。Flash同士で通信するローカルコネクション機能に着目して、設置した6種類のブログシールの各キャラクターがCubeに乗って移動する。時間の流れでイベントが発生するなど、新感覚のブログシールだ。タロアウト氏の作品は、オリジナルのキャラクターを含めた世界観が魅力的なことを改めて感じさせるプレゼン内容だった。

Webサイトの次元をこえた「何か」 - 西田幸司氏

飛び入り参加の佐野勝彦氏を交えて、公開直後の「SHARP The Kameyama Dream plant」が披露された。 実在するグラフィックのコラージュでヴァーチャル空間を再構成するのが西田氏の真骨頂だが、このプロジェクトではグラフィックを西田氏、文字組みとFlashを佐野氏が担当。コンセプトは「雲の上のピラミッド」だが、遺跡ではなく未来的な要素を取り入れ、シャープの液晶技術の粋を集めた亀山ファクトリーの信頼感を表現している。

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左右ともに:SHARP The Kameyama Dream plant

リズミカルな動きは、徹底したシュミレーションと微調整の上に成立している。最新鋭ロボット機械の紹介では、塵ひとつない工場のクリーン感をモノクロで表現しながら随所でカラーを残す画面構成とするなど、そのこだわりに驚くばかり。大画面で展開される圧倒的で繊細な作品はWebサイトじゃない「何か」を観ているようで、会場は魅惑されたように静まり返る。自分に起った感情もWebサイトを見ての感動とは異なり、それが印象的だった。

以上、当日の内容を振り返ってみた。紹介された作品の全てが、スペシャルサイトやスペシャルコンテンツなのはおわかりいただけるだろう。このような仕事では、毎回がチャレンジ。発注者の意図を読み取って具現化するための、文字通りのスタディとクリエイションの連続が必要とされる。Web標準実装や設計に通底するものは同じだが、最終アウトプットが全く異なるものとなっている点で実に興味深かった。

また、そのような発想の実現を可能とするFlashの懐の広い可能性に今後も注目していきたいと思う。

(デジタルスケープ 岡本淳)

関連リンク

INSPIRATION SCENE Summer Jamレポート #1
トザイキケイイチ氏(KARATE SYSTEM)
DoCoMo Web Exhibition(公開終了:スタンダード・シリーズ社)
[saiz](公開終了:スタンダード・シリーズ社)
高木久之氏(wildcard)
BEYES KAPLA
Air Garden 空中庭園
WOWLAB
FACEs(動体検知のオープンソース)
タナカミノル氏(pickles)
アイラブ夏ケイバ
Driving Cube
タロアウト氏
NISSAN cube CUBOX
西田幸司氏
佐野勝彦氏(博報堂アイ・スタジオ)
SHARP The Kameyama Dream plant

株式会社ロクナナ
ROKUNANA WORKSHOP MEDIADESIGN

51501.jpgWEBサイトやグラフィックデザイン、マルチメディアコンテンツの制作を行う株式会社ロクナナの教育部門として、各種トレーニングやセミナーを運営するのがROKUNANA WORKSHOP MEDIADESIGN。アドビ認定トレーニングセンターでもある。A.e.Suck氏、野中文雄氏、大重美幸氏、神森勉氏、NORI氏など業界第一線で活躍するクリエイターが講師を務めることでも知られている。
http://www.rokunana.com/
http://67.org/ws/

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