2008.11.20

Web Directions East 2008 カンファレンスレポート(前編)

イメージ:Web Directions East 2008 カンファレンスレポート(前編)

11月7日(金)〜9日(日) に開催され、豪華なゲストが注目されたWeb Directions East 2008。レポート前編では、カンファレアンス前半の模様をお届け。

世界中から、ウェブの最前線で活躍する一線級の人たちが東京に集る、注目のイベントとなった「Web Directions East 2008」。初日のカンファレンスデイとなった11月7日、会場のベルサール西新宿には多くの来場者が集る盛況ぶりでした。オープニングでは、WWWの生みの親であるTim Berners-Leeもビデオレターで登場するなど、これまでの日本のセミナーやイベントでは類を見ない、豪華な顔ぶれによる贅沢なイベントとなりました。

withDもメディア協賛としてサポートした本イベントのカンファレンスデイを前後編の2回にわたってレポートしますが、前編は連載「一歩先のWeb標準」を担当しております、ゆうがお送りいたします。

Eric Meyer - ブラウザの多様化でみる最良のウェブ開発

イベントを主催する、司会のJohn Allsopp氏に「CSSのゴッドファーザー」と紹介されたEric Meyer氏のセッション。内容は、意外にもブラウザのJavaScriptエンジンの進化に焦点があてられたものとなりました。

  • 目覚ましいJavaScriptエンジンの進化

Eric Meyer氏 スライドよりSquirrelFishの進化
Eric Meyer氏(左)とスライドよりSquirrelFishの進化(右)

Meyer氏はまず、2008年は新たに登場したGoogle Chrome(→連載♯17を参照)をはじめ、ブラウザのJavaScriptエンジンが目覚ましい進化を遂げた年だと位置づけ、FirefoxやSafariの例にも言及しつつ、 JavaScriptエンジンの劇的なパフォーマンス向上がウェブのユーザー体験を変えていく重要な要素になるだろうとの展望を語りました。

ブラウザJavaScriptエンジン
Google ChromeV8
SafariSquirrelFish → SquirrelFish Extreme
FirefoxSpiderMonkey → TraceMonkey
  • ブラウザの機能を拡張するJavaScriptライブラリ

続けてMeyer氏は、JavaScriptライブラリを活用することで、現行ブラウザの不備を補完したり、機能を拡張したりすることができるとJavaScriptの意義を説明します。

例えば、「IE8がAcid2(→連載♯11を参照)に対応したのは心強いものの、IE6や7でのCSS対応は未熟だ。しかし、Dean Edwards氏が開発したライブラリIE7.jsを使えば、IE6や7で未実装のCSS2の機能を、標準対応ブラウザと同じように利用できるようになる。同様のライブラリに、jQueryの開発者John Resig氏が開発中のsizzleというライブラリ(CSSセレクタエンジン)もある」など。

Bluff 280 Slides
Bluff(左)と280 Slides(右)

また、すでにある程度標準の実装が進んだブラウザも機能をさらに拡張することができるとして、「紹介した多くの事例は、2 年前では処理が遅すぎて、とても実現できなかったようなことばかり」とJavaScriptエンジン進化の恩恵と重要性を重ねて強調しました。

typeface.jsCanvas(Firefox, Opera, Safari)とVML(IE)を使って、任意のタイプフェイスを描画するJavaScriptライブラリ。ただし、Meyer氏も指摘していたように、フォントを「(技術的に)いくらでも使えるようになること」と「(知的財産権的な意味で)いくらでも使うことと」とは別の問題。なお、sIFRやCSS Web Fonts(→連載♯12を参照)と異なり、テキスト領域を選択・コピーすることはできない
BluffCanvasを使ったグラフ描画用JavaScriptライブラリ。RubyのGruff graphing libraryライクな記法を用いる。Canvas未対応のIEに対しては、Googleが配布するExplorerCanvas(ExCanvas)というライブラリを利用する
raphaëlシンプルな文法でベクター画像を作成できるようにするJavaScriptライブラリ。Firefox, Opera, SafariはSVG、IEはVMLで出力する。生成したベクター画像はDOMオブジェクトとしてJavaScriptで操作できる
280 Slides“Keynote on the Web”とも呼ばれるウェブベースのプレゼンテーションアプリケーション。(ただし、読み込みや書き出しは.pptx, .ppt, .odp, .pdf形式のみ)Cappuccinoという、オープンソースのアプリケーション フレームワークを利用し、Objective-CをJavaScriptベースにした、Objective-Jという言語で開発されている
Processing.jsProcessingというグラフィック描画用言語(中村勇吾氏の作品などを連想するとイメージが湧きやすいかもしれません)をJavaScript + Canvasで実装したもの。作者はjQueryでお馴染みのJohn Resig氏。現時点でResig氏は、Firefox, Opera, Safariの最新ベータでの実行を推奨(→日本語解説。実はすでに加速度センサーiPhoneとの連携実装の例もあります)
Meyer氏が紹介したJavaScriptライブラリ(解説部分は筆者による)
  • モバイルを介して誰もがアクセスできるウェブへ
終盤、話題は小型携帯端末(mobile device)に及びます。

「今後、膨大な数の人たちが、デスクトップPCではなく、iPhoneやAndroidなど小型携帯端末によって初めてウェブ触れるだろう。最近、Tim Berners-Lee氏が設立を宣言したWorld Wide Web Foundation(W3F)は、世界中のあらゆる人がウェブにアクセスできるようにするという、彼がWWWを発明した当初からの理念の実現を目指している」

と結びました。このあたりはとても共感した部分である一方、JavaScriptエンジンの劇的なパフォーマンス向上というMeyer氏の論旨の基軸と、この小型携帯端末でのウェブアクセスとがどう絡むのかが、やや見えてきませんでした。

そこで、セッション終了後に、PCと小型携帯端末やほかのデバイスとで、同等のJavaScriptエンジンが実装されるべきなのかどうか、直接ご本人に伺ってみました。彼は「ボクはJavaScriptの専門家じゃないから明確なことは言えないけど」とことわった上で、デバイスによって画面の大きさや、操作の文脈や方法なども異なるから、そのあたりがポイントにはなってくるかも、と慎重かつ丁寧な回答をいただきました。

続いて、「あかゆるデバイスに対応できるウェブデザインの考え方」と題して、SimpleBitsのDan Cederholm(ダン・セダーホルム)氏のセッションをご紹介します。

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