今回でこの連載もはや12回。1年が経ちました。2年目に向けて、今回はこれまでとはちょっと違ったアプローチを試してみます。
その月のサイトから感じる傾向に着目しようかと…
イギリスのインタラクティブデザイナー、リチャード・バンクスさんのブログ「rb.trends」がおもしろい。

rb.trends
デイリーに進化するテクノロジーの最新トレンドについて、さまざまなフィードをクリップしながら、彼なりのキーワードで大量にリストしているのだ。例えばこんな具合である。
- セカンドライフで面接を行う「Online Recruiting」
- パーソナルサーバが広まりそうな「Portable Servers」
- 車のフロントミラーがデバイスになった「Smart Mirrors」
- アドバルーンが飛び回る「Floating Billboard」
…などなど。バックグラウンドのあるプレイヤーが仕事の延長としてブログを捉えれば、こんなにも的確に未来を予感できる=ワクワクするメディアとなることのいい事例だ。リチャードさんの場合リサーチ自体がお仕事だし、しかもクリップするだけなのだから運営は軽いものなのだろう。あとはラベリングとフィルタリングのセンスが問われるだけだ。
僕が続けているメールマガジン「Design is Daily」も、日々大量のWebサイトを巡りながら、気になったものをクリップして一言残していく編集方針である。「最初の2秒がなんとなく正しい」 と、じっくり見るかどうかの判断は早い。それでも漠然と大まかな流れを感じている気がする。
今月はrb.trendsにならって、気になる傾向をラベリングしてみよう(もしかしたら今後も、このカタチで行くかもしれません)。
Web X Mag zine - 雑誌とウェブの連動
2007年2月、注目すべきメディア「MONOCLE」が誕生する。「抜け目ないフォーカス、強いレポーティング、鋭いウィットとクラシカ ルなデザインへのアプローチをもったメディア」として、デザインやビジネス、世界のルポタージュまで、世界中の様々なテーマを掘り下げるヨーロッパ発の新たな雑誌とWebブロードキャストだ。

MONOCLE
仕掛け人は、「Wallpaper*」を立ち上げ、フィナンシャルタイムズのコラムニストでもあるタイラー・ブ リュレ。BBCなどのキャリアを持つ映像のスタッフも多く関わっていて、近日公開のWebコンテンツが待ち遠しい。
新刊誌における、印刷されたプロダクトとマルチメディアをミックスするWebネットワークの理想的なモデルが、各方面で画策されている。「オレは紙しかわからない」「Webしか知らない」という言い訳は過去のもの。一から棲み分けを考えて設計する新しい時代がやってきたのだ。
Simple but Impressive - シンプルだけど心に残る
デザイナーのやりたい放題のプレイグラウンドとして、ポートフォリオサイトはいつだって刺激的。最近は、レイアウトはシンプルだけど印象的に残る仕掛けを巧みに織り交ぜ、ユーザビリティとインプレッションを両立させている洗練されたサイトも多くなってきた。カナダのデザインエージェンシー 「Analog」のトップページは、その好例だろう。

IAmAlwaysHungry
そして、参考になるな!と感心したのが、「IAmAlwaysHungry」 。ハイクオリティなアートワークはもちろん、「ダイナミック・アブストラクション」を地で行く、さまざまなアルゴリズムを駆使した動きやウジェット満載! 「↑」キーでも操作できたりと、至れりつくせり。シンプルだからこそ経験の違いが際立つ。
理解しやすさと遊びのバランスが、いまデザイナーのホットなスキルなのだろう。
Divided Individual - ひとりでふたつ
プロモーションサイトでは、ゲームコンテンツの人気はまだまだ根強い。ゲーム自体の楽しさはもちろん、伝えたいメッセージを言葉ではなく経験によって伝えることができる点は確かに有効だ。しかし実際は、古典的なゲームの浅いパロディや、解決まですごく時間のかかるRPG的シナリオゲームだったり、あまりのめりこめるものは少なく感じる。

IAmAlwaysHungry
そんな中でNokia 6133のキャンペーン「PUSH TO START」は、かつてなく極上の新感覚だ。このゲームの基本はあくまで競争。しかも、インベーダー、ホッケー、かけっこと定番中の定番。では、何が新しいのか。それは、右手vs左手、自分の感覚を二分して戦うのである。
右手をひいきするでもなく、左手に集中するでもなく、どちらも応援したくなる分裂的感覚。手は無限の可能性を持ち、ノキア端末はそのインタラクションに応えるという、ゲームの自然なサイト内の位置づけも圧巻 だ。
Movie as Interface - 映像インタフェース
最後は、言わずと知れたベルギーのデザインエージェンシー「group94」の実に4年ぶりのサイトリニューアル。2003年当時はマウスアイコンの衝撃が世界に轟き、FlashをつかったCMSの画期性にワクワクしたが、今回は「まだリニューアルが間に合ってないのよ!わたしのせいなのよ。。www」とご機嫌なしゃべりすらもティザーとなって、思わず見てしまうつくり。

IAmAlwaysHungry
映像の再生にあわせて、最近手がけた仕事やナビゲーションが出現する。人が出てきて大そうにコンテンツを説明してくれる形はよくある。それがgroup94の手にかかると、軽めにいろいろできそう、と感じさせてくれる。アップデート予定のぶっ飛びビデオキャストが楽しみ!
今月はウェブのあり方から印象的な表現まで、4つのトレンドのご紹介でした。来月は「Voice as Navigation」など考え中です。少しでもみなさんのヒントとなれば幸いです!
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兼松佳宏さんプロフィール
デザイナー/デザインジャーナリスト。「ソーシャル・クリエイティブ」をテーマに、NPOのコミュニケーションツールのプロデュースに関わる。現在「デザインは世界を変えられる?」を掲げて Web Designingで連載中。他にもCBCNET、Shift、Design Quarterly、MASSAGEなどにライターとして参加してます。
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